親子で家事、防災を学ぼう
自宅時間を有意義に/「遊び」の視点で楽しく

新型コロナウイルスによる影響で密閉・密集・密接の「3密」を避けるなど人との接触を減らすことが望ましい新しい生活様式が定着しつつある中、家族が家で過ごす時間が長くなっています。
このような時は、普段なじみがない家事の方法や災害時の備えなどを幼い子どもに伝える絶好の機会でもあります。
どう伝えるのかや、親子で楽しむための工夫を探ってみました。
日用品大手ライオンのリビングケアマイスター杉本美穂さんによると、家事は子どもの経験値に応じて段階的に教えていくと良いといいます。
例えば食後の洗い物の場合、経験のない子どもにはまず「食器を洗い場に運ぶ」「水ですすぐ」といった「初級編」から入ります。
慣れると、自分の使った食器を自分で洗わせたり、汚れがこびりつきやすいフライパンや壊れやすいガラスのコップに挑戦させたりと、難しいものに移ります。
その際、「汚れが広がるから、食器は重ねて運ばない」など、なぜその行動をするのかを丁寧に説明すると、子どもの理解も進みます。
■習慣化し意欲の向上へ
やる気を引き出すポイントは「遊び」の視点。
「洗濯物たたみ競争」「窓ふき競争」などゲーム感覚で、家族でやってみるようにしましょう。
反応が良ければ定期的なイベントにするのも一案。
「『家事を手伝って』と言うより、親が一緒に楽しそうに取り組む姿を見せると、『やってみようかな』という気持ちになります。
習慣化することで、家事が生活の中でどういう意味を持つのかも理解でき、成長にもつながります」と杉本さんは話します。
新型コロナに加え、大雨や台風のシーズンが近づく中、「遊び」の要素は災害への備えにも有効です。防災士の資格を持つ管理栄養士の今泉マユ子さんが提案するのは「家庭内パトロール」の実施。
子どもに「隊員」として、備蓄食材などのチェックや、懐中電灯の場所や個数などを定期的に確認してもらいます。
「子どもは『ごっこ遊び』が大好き。楽しみながら家のどこに何があるかを知ることができます」と今泉さんは話しています。
このほか、「備蓄の食材のみを使った食事作り」や、電気や水道が使えない場合を想定した「停電ごっこ」や「断水ごっこ」などを通じ災害時の生活を事前に体験しておくと、何が足りないかを考えることにつながるでしょう。
■子どもに役割/生きる原動力
こうした取り組みの中で重要なのは、子どもに「役割」を与えることです。
例えば、曜日を決めて掃除や洗濯を任せるなど、自分の仕事として意識させていくようにしましょう。
「達成できた時に褒めると、『見てくれている』と思え責任感も増します。
『人の役に立ちたい』という気持ちが芽生えれば、生きる原動力にもなります」と今泉さんは語っています。
2020/06/25 公明新聞の記事より